所有不動産記録証明制度とは? 全国の不動産を調べる方法・必要書類・費用を司法書士が解説

2026年2月2日スタート|相続登記の新制度

所有不動産記録証明制度とは?
全国の不動産を調べる方法・必要書類・費用を司法書士が解説

「亡くなった親がどこに不動産を持っていたかわからない」 「実家以外にも土地があるかもしれない」 「相続登記の漏れがないか心配」

このような場合に役立つのが、 2026年2月2日から始まった 「所有不動産記録証明制度」です。 本記事では、制度の仕組みから請求方法、 必要書類、費用、注意点まで、 司法書士がわかりやすく解説します。

更新日:2026-10-30| カテゴリ:相続・相続登記・不動産調査
目次

はじめに|親が所有していた不動産をすべて把握できていますか?

相続が発生した際、まず確認したいのが、 亡くなった方が所有していた財産の内容です。

預貯金については通帳や郵便物などから ある程度確認できる場合がありますが、 不動産については、所有している土地や建物を すべて把握することが難しい場合があります。

例えば、次のようなケースです。

  • 実家以外にも土地を所有していた可能性がある
  • 昔購入した別荘地や山林の場所がわからない
  • 親が複数の市区町村に不動産を所有していた
  • 固定資産税の納税通知書が見つからない
  • 相続登記をする不動産に漏れがないか確認したい

これまでは、各市区町村で名寄帳を取得するなど、 地域ごとに不動産を調査する必要がありました。

しかし、所有している不動産の所在地自体が わからない場合には、調査に限界がありました。

こうした問題を解消するために設けられたのが、 「所有不動産記録証明制度」です。 全国の登記情報を対象に、 特定の人が所有権の登記名義人となっている不動産を 一覧で確認できるようになりました。

所有不動産記録証明制度とは?

所有不動産記録証明制度とは、 法務局に請求することで、 特定の人が所有権の登記名義人として 記録されている不動産を検索し、 その結果を一覧にした証明書の交付を受けられる制度です。

2026年(令和8年)2月2日から 運用が開始されました。

制度の根拠となるのは、 不動産登記法第119条の2です。

なぜ新しい制度ができたのか?

従来、不動産の登記記録は、 土地や建物ごとに作成されていました。

そのため、所有者の名前から全国の不動産を 一覧で検索する仕組みはありませんでした。

例えば、東京都日野市に住んでいた方が、 立川市や八王子市だけでなく、 長野県や山梨県にも土地を所有していた場合、 相続人がその存在を知らなければ、 相続登記が行われないままになる可能性がありました。

このような登記漏れを防ぐことで所有者不明土地を減らし、 相続登記の手続きを円滑にすることが 制度創設の目的です。

2024年4月1日から相続登記が義務化されています。 所有不動産記録証明制度は、 相続人が登記すべき不動産を把握しやすくすることで、 相続登記の義務化を支える制度でもあります。

所有不動産記録証明制度を利用するメリット

1.全国の不動産をまとめて調査できる

最大のメリットは、 全国の登記情報を対象に 不動産を調査できることです。

以前は、所有している可能性のある 市区町村を個別に調査する必要がありました。

新制度では、法務局に請求することで、 全国の登記情報から条件に該当する不動産を 一覧で確認できます。

2.相続登記の漏れを防ぎやすくなる

相続登記を行った後に、 別の土地が見つかることがあります。

例えば、実家の土地建物について 相続登記を終えたものの、 後から私道の共有持分が見つかるケースです。

所有不動産記録証明制度を利用することで、 こうした不動産を発見できる可能性があります。

3.相続財産の全体像を把握しやすくなる

遺産分割協議を行う際には、 相続財産をできるだけ正確に把握することが重要です。

不動産の調査を進めることで、 相続人間で財産の分け方を検討しやすくなります。

4.生前の財産整理にも活用できる

この制度は、亡くなった方の相続人だけでなく、 不動産の登記名義人本人も利用できます。

そのため、遺言書の作成や生前の財産整理にあたり、 ご自身が所有する不動産を確認する目的でも 活用できます。

所有不動産記録証明制度は、 相続発生後の不動産調査だけでなく、 遺言書作成などの生前対策にも役立つ制度です。

所有不動産記録証明書は誰が請求できる?

所有不動産記録証明書を請求できるのは、 主に次の方です。

請求できる人 具体例
所有権の登記名義人本人 自分が所有する不動産を調べたい方
相続人 亡くなった親の所有不動産を調べたい子どもなど
その他の一般承継人 合併により権利を承継した法人など
代理人 本人や相続人から委任を受けた司法書士など

例えば、父親が亡くなった場合、 相続人である子どもが、 父親名義の不動産について 所有不動産記録証明書を請求できます。

また、司法書士に委任して、 代理で請求手続きを進めることも可能です。

誰でも自由に他人の所有不動産を 調査できる制度ではありません。 請求するためには、 登記名義人本人や相続人など、 法律で認められた立場であることが必要です。

所有不動産記録証明書の請求方法と手続きの流れ

手続きは大きく分けて、 「請求」「検索」「交付」の3段階です。

STEP 1|必要書類を準備する

請求人の本人確認資料や、 相続人であることを証明する戸籍など、 必要な書類を準備します。

STEP 2|検索条件を確認する

調査対象者の氏名・住所などを確認します。 過去に住所や氏名が変わっている場合は、 以前の情報も確認することが重要です。

STEP 3|法務局に請求する

所有不動産記録証明書交付請求書を作成し、 必要書類とともに提出します。

全国の法務局・地方法務局の本局、 支局・出張所で請求できます。

STEP 4|登記官による検索

法務局が指定された検索条件に基づき、 登記情報を検索します。

STEP 5|証明書を受け取る

検索結果を一覧にした 所有不動産記録証明書が交付されます。

請求方法は3種類

  • 法務局の窓口で書面請求する方法
  • 郵送で書面請求する方法
  • オンラインで請求する方法

オンライン請求には、 申請用総合ソフトや電子署名など、 所定の準備が必要です。

証明書の交付までにかかる日数は、 請求先の法務局によって異なります。 余裕を持って手続きを進めましょう。

所有不動産記録証明書の必要書類

必要書類は、 登記名義人本人が請求する場合と、 相続人が請求する場合で異なります。

登記名義人本人が請求する場合

  • 所有不動産記録証明書交付請求書
  • 印鑑証明書、または請求方法に応じた本人確認書類
  • 過去の氏名・住所を検索する場合は、その変更を証明する書類

印鑑証明書を利用する場合は、 請求書に実印を押印します。

相続人が請求する場合

  • 所有不動産記録証明書交付請求書
  • 請求人の印鑑証明書、または請求方法に応じた本人確認書類
  • 亡くなった方との相続関係を証明する戸籍謄本等
  • 必要に応じて法定相続情報一覧図の写し
  • 過去の氏名・住所を検索する場合は、その変更を証明する書類

司法書士など代理人が請求する場合

代理人が請求する場合には、 上記に加えて委任状などが必要です。

委任状には請求人の実印を押印し、 印鑑証明書を添付する必要があります。

請求方法によって本人確認書類の取扱いが異なります。 例えば、本人確認書類の写しを利用する方法は、 窓口での書面請求を前提とし、 原本の提示も必要です。

また、法定相続情報番号などを利用することで、 一定の添付書類の提出に代えられる場合があります。

所有不動産記録証明書の手数料はいくら?

所有不動産記録証明書の手数料は、 請求方法によって異なります。

請求方法 手数料
書面請求(窓口・郵送) 1,600円
オンライン請求・郵送交付 1,500円
オンライン請求・窓口交付 1,470円

上記は、 検索条件1件につき、証明書1通当たりの手数料です。

検索条件が複数ある場合の計算例

例えば、書面請求で、 検索条件を3件指定し、 それぞれ1通ずつ請求する場合は、 次のようになります。

1,600円 × 3検索条件 × 1通
= 4,800円

過去の住所や氏名を追加して調査する場合には、 検索条件が増えるため、 その分の手数料が必要になります。

検索の結果、該当する不動産が 見つからなかった場合でも、 所定の手数料がかかります。

また、郵送請求の場合は、 別途、返送用封筒や切手などが必要です。

注意点|すべての不動産が必ず見つかるわけではありません

所有不動産記録証明制度は便利な制度ですが、 全国の所有不動産を完全に把握できるとは限りません。

特に、次の点に注意が必要です。

1.登記上の住所が異なると見つからない場合がある

この制度では、 請求時に指定した氏名・住所などの情報をもとに 検索が行われます。

例えば、亡くなった父親が 以前は八王子市に住んでおり、 その後、日野市へ転居していた場合を考えます。

八王子市に住んでいた当時に取得した不動産について、 登記上の住所が変更されていなければ、 現在の住所だけで検索しても 見つからない可能性があります。

不動産の調査では、 現在の住所だけでなく、 過去の住所や旧姓なども確認することが重要です。

2.表題部のみの不動産は対象外

所有不動産記録証明制度で検索できるのは、 所有権の登記がされている不動産です。

そのため、 建物の表示に関する登記だけがされており、 所有権の保存登記がされていない建物などは、 検索対象になりません。

3.コンピュータ化されていない登記記録は対象外

登記簿がコンピュータ化されていない不動産は、 検索結果として抽出されません。

4.同姓同名の別人の不動産が抽出される可能性がある

氏名・住所などをもとに検索するため、 検索条件によっては、 同姓同名の別人が所有する不動産が 候補として抽出される可能性があります。

5.登記されていない財産は把握できない

この制度は、登記情報に基づく不動産調査です。 預貯金や有価証券など、 不動産以外の相続財産を調査するものではありません。

所有不動産記録証明書に記載されていないからといって、 その人が他に不動産を所有していないと 断定することはできません。

固定資産税の資料、名寄帳、 権利証・登記識別情報通知、 過去の売買契約書なども併せて確認することが大切です。

所有不動産記録証明制度と名寄帳の違い

不動産の相続調査では、 これまでも市区町村が発行する 「名寄帳」が利用されてきました。

所有不動産記録証明制度と名寄帳には、 次のような違いがあります。

比較項目 所有不動産記録証明制度 名寄帳
発行機関 法務局 市区町村
調査範囲 全国の登記情報 原則として各市区町村の固定資産課税台帳等
検索の基準 登記上の氏名・住所等 固定資産課税台帳等の所有者情報
主な目的 登記名義人となっている不動産の把握 自治体内の固定資産の把握
主な注意点 検索条件によって漏れが生じる可能性 他の市区町村の不動産は確認できない

名寄帳には、自治体の管理状況によって、 非課税の土地や未登記家屋などが 記載されている場合があります。

一方、所有不動産記録証明制度は、 全国の登記情報を対象とする点が特徴です。

どちらか一方だけで調査を終えるのではなく、 所有不動産記録証明書と名寄帳を組み合わせることで、 不動産の調査漏れを防ぎやすくなります。

具体的な活用事例|亡くなった父親が複数の土地を所有していた場合

例えば、日野市に住んでいた父親が亡くなり、 子ども2人が相続人となったケースを考えます。

相続人が把握していた財産は、 日野市内の自宅の土地と建物だけでした。

ところが、遺品整理の際に、 昔購入した別荘地の資料が見つかりました。

土地の所在地ははっきりせず、 相続人も詳しい事情を知りません。

所有不動産記録証明制度を利用

そこで、父親の氏名と過去の住所などを確認し、 所有不動産記録証明書を請求します。

検索の結果、条件に該当する不動産として、 自宅の土地建物のほか、 別の地域の土地が記載される可能性があります。

見つかった不動産を確認する

証明書に記載された不動産について、 登記事項証明書などを取得し、 所有関係や所在地を確認します。

そのうえで、相続人間で 不動産をどのように承継するか検討し、 必要な相続登記を進めます。

これは制度の利用場面を説明するための 架空の事例です。 実際にどの不動産が検索されるかは、 登記記録と検索条件によって異なります。

相続した不動産の売却を考えている場合

不動産の相続では、 「実家を相続したものの、誰も住む予定がない」 「空き家の管理が難しい」 といったご相談もあります。

このような場合には、 不動産を売却することも選択肢の一つです。

ただし、売却を進める前に、 相続人や所有不動産の状況を整理しておくことが重要です。

売却を検討する場合の一般的な流れ

STEP 1|相続人と不動産の調査

戸籍を収集して相続人を確認し、 所有不動産記録証明制度なども活用して 不動産の調査を進めます。

STEP 2|遺産分割方法の検討

誰が不動産を取得するのか、 売却代金を相続人で分けるのかなどを検討します。

STEP 3|相続登記

遺言書や遺産分割協議の内容などに基づき、 必要な相続登記を進めます。

STEP 4|不動産の売却

不動産会社による査定や売却活動を進め、 買主が決まった後は、 売買に伴う登記手続きなどを行います。

STEP 5|売却代金の精算・分配

売却に必要な費用を精算し、 遺産分割協議の内容などに従って 売却代金を分配します。

当事務所では、 不動産の相続調査、相続登記、 遺産分割協議書の作成、 売却に伴う登記手続きなどを通じて、 相続不動産の売却をサポートしています。

必要に応じて不動産会社などの専門家と連携し、 相続手続きから売却までの流れを 整理するお手伝いをいたします。

不動産を売却して代金を相続人で分ける 「換価分割」を行う場合には、 遺産分割協議書の記載内容や 売却代金の分配方法に注意が必要です。

また、不動産売却に伴う譲渡所得税や 各種税制特例については、 必要に応じて税理士への確認が必要です。

よくある質問

Q.全国の不動産を一度に調べられますか?

A.全国の登記情報を対象に検索できます。 ただし、氏名・住所などの検索条件によっては、 該当する不動産が抽出されない場合があります。

Q.亡くなった親の不動産も調べられますか?

A.はい。相続人であれば、 相続関係を証明する書類などを準備して 請求することができます。

Q.父親が生きている間に、子どもが勝手に調べられますか?

A.原則として、 子どもであるという理由だけでは請求できません。 所有者本人から委任を受けて 代理人として請求する方法などを検討する必要があります。

Q.固定資産税がかからない土地も見つかりますか?

A.所有権の登記がされており、 検索条件に該当する土地であれば、 固定資産税の課税の有無にかかわらず 検索対象となります。

Q.登記されていない建物も調べられますか?

A.所有権の登記がされていない建物は、 この制度の検索対象外です。 市区町村の名寄帳などによる 別途の調査が必要になる場合があります。

Q.証明書を取得すれば相続登記は完了しますか?

A.いいえ。 所有不動産記録証明書は、 不動産の調査に利用するものです。 相続登記を完了させるためには、 別途、法務局への登記申請が必要です。

Q.司法書士に調査を依頼できますか?

A.はい。 司法書士に委任して 所有不動産記録証明書の請求を行うことができます。

当事務所では、 不動産調査から相続登記、 遺産分割協議書の作成など、 相続手続き全体のご相談を承っております。

まとめ|所有不動産記録証明制度を活用して相続登記の漏れを防ぎましょう

2026年2月2日から始まった 所有不動産記録証明制度により、 全国の登記情報から 特定の人が所有権の登記名義人となっている不動産を 一覧で確認できるようになりました。

これまで把握が難しかった 遠方の土地や、 存在を知らなかった不動産を 発見するための有効な手段となります。

一方で、検索条件によっては 不動産が抽出されない場合があるため、 名寄帳や固定資産税の資料などと 組み合わせて調査することが重要です。

相続登記で大切なのは、 登記すべき不動産を漏れなく把握することです。

不動産の調査から相続登記まで 計画的に進めることで、 将来の登記漏れや相続手続きの複雑化を 防ぎやすくなります。

相続不動産の調査・相続登記はご相談ください

常藤司法書士事務所では、 日野市・立川市・八王子市を中心に、 相続不動産に関するご相談を承っております。

所有不動産記録証明制度を利用した不動産調査、 戸籍収集、遺産分割協議書の作成、 相続登記など、 ご事情に応じて必要な手続きをご案内いたします。

「亡くなった親の不動産をすべて調べたい」
「実家以外にも土地があるかもしれない」
「相続登記の漏れがないか確認したい」
「相続した実家の売却も考えている」

このようなお悩みがある方も、 まずはお気軽にご相談ください。

初回相談は無料です。
相続不動産の調査から名義変更、 売却に伴う手続きまで、 わかりやすくご案内いたします。

📩 初回無料相談はこちら

参考資料・関連情報

※本記事は2026年10月30日時点の制度に基づく一般的な解説です。 必要書類や手続きの取扱いは、請求方法や個別事情によって異なります。 所有不動産記録証明書は、指定された検索条件に基づく結果を証明するものであり、 すべての所有不動産を網羅することを保証するものではありません。 具体的な手続きについては法務局または司法書士にご確認ください。

\ご相談は無料です/

あなたとご家族のこれからに
安心と備えを。

相続や終活のことは、
「元気なうちに動いておく」
ことが一番の安心につながります。
大切なご家族を守るため、
そしてご自身が笑顔で毎日を過ごすために、
わかりやすく・誠実にサポートいたします。
「ちょっと話を聞いてみたい」そんな気持ちで、
ぜひご連絡ください。